2024年1月24日水曜日

花園八幡古墳時代

 

2022年のノーベル医学生理学賞を受賞したペーボ博士の業績は古代人の骨からDNAを抽出してその配列を解析するという技術の開発でした。この技術によって人類の歴史に画期的な知見が得られるようになりました。

花園を含めて周辺の丘陵には古墳時代後期のお墓だった横穴古墳があります。その一つの岩出古墳には人骨が出土したことが分かっていました。金沢大学の額張助教らが岩出古墳の人骨をペーボ博士らの技術を用いて解析したところ、日本人の成り立ちについてこれまでの常識を覆す発見がありました。

これまでの主流の説は先ず旧石器時代人が大陸から日本列島にわたってきて外の人類とあまり交雑せず縄文人となった。その後弥生時代に大陸の主に北方から稲を耕作する集団が渡ってきて交雑し、弥生時代の日本列島の人は縄文DNAと弥生DNAをほぼ半分ずつ持っていた。それが現代日本人になったというものでした。

ところが額張助教らの研究から古墳時代に大陸の主として南の方から多数の移民があり、その結果列島日本人のDNAは大略して縄文2割、弥生2割、大陸6割くらいの構成になり、現代日本人もほぼ古墳時代の構成のままであることが分かったそうです。

古墳時代は3世紀から6世紀で、花園八幡にも人々が暮らしていました。花園八幡遺跡から鉄滓や鞴(ふいご)の羽口も出土しています。鍛冶屋があったのでしょう。鍛冶は農機具や武器を作る最新の技術でした。大陸からの人々が八幡にも来て鉄器を作ったのかもしれません。八幡波自加彌神社横穴や八幡薬師横穴群も岩出と同様にこの時代の人々のお墓だったのでしょう。古墳時代についてはまだ新しい発見があるかもしれません。

NHKテレビ番組フロンティアより