この土器は金沢市鞍月から出土した弥生時代末期の土器で、その首のあたりの特徴から月影式土器と呼ばれる形をしています。金沢市埋蔵文化財センターに展示されています。花園八幡から数百メータくらいしか離れていない月影集落でみつかった月影遺跡でこの形式の土器が最初に発見されたので「月影式土器」の名前を付けられました。
ところで、花園八幡遺跡から多数の土器が出土していますが、月影式土器は見つかっていないそうです。こんな近い集落なのに何故かと気になります。
実は月影式土器はかなり広範囲に分布していて、山陰地方がそのオリジンではないかというコメントもあります。月影式土器は月影周辺で作られたのではなく、どこかで作られ、月影に運ばれてきたものかもしれません。花園八幡遺跡は弥生時代から古墳、平安、鎌倉時代まで、続いていましたので、月影遺跡ができたころにも人々の活動があったはずです。花園八幡遺跡の弥生式土器はその近辺で制作されていたので、あまり月影式土器に対するニーズがなかったのかもしれません。