猫の寛太郎 |
猫の寛太郎も寅次郎も、どこにいようが必ず見つけて騒ぎます。きっと鋭い聴覚を持つ彼らには、その百足の歩く音が聞こえるのでしょう。シャカシャカシャカ、ゾロゾロゾロ、それともガサガサガサか。ある夜、寛太郎はこれをしとめようと戦ったのはいいのですが、どうも噛まれ毒液が体内に入ったらしく、吐いてばかり。エサも、水も口にすることができなくなってしまいました。検査の結果、肝機能が著しく落ちていました。回復にはかなり時間がかかりました。以来、寛太郎はムカデを見ると怯えて遠巻きにうろうろするだけです。
こともあろうに里山を知り尽くし里山の主とでもいうべき母屋の舅まで、ムカデに噛まれました。畑用のゴム手袋の中に潜んでいたのです。とても痛がるので慌てて病院へ。ステロイドの入った点滴でだんだん痛みは治まってきました。マムシほどではありませんが、ムカデも人には危険な生き物です。
そういえば、『枕草子』にもムカデのことが出てきます。“古き所なればむかでとふもの日と日落ちかかり、、、、”と。それから『あしながおじさん』にも。蔦のからまる古い寮の一室で主人公ジュディ・アボットのルームメートはジュディのヘアブラシで叩くのです。ジュディは又ブラシが台無しだと嘆きます、、、。古今東西を問わないようです。当然ですね。ムカデのルーツの方がヒトよりずっと古いのですから。
狩りの得意な寅次郎はムカデと上手に戯れます。外ではモグラの子供、仔ネズミ、アオジの幼鳥など捕まえて自慢そうに見せに来ます。ヘビを見せに来たときにはさすが喫驚です。さまざまな生物種との共存とはいかなるものか、里山に暮らしてみて考えることしきりです。私達の方が彼らのテリトリーへの闖入者であることは間違いありません。せっせと家の周囲を整理整頓し、テリトリーを分けて住むことが穏やかな共存の一案でしょうか。早くも今夏のムカデ1号がやってきました。このところ寛太郎は又吐いて元気がありません。去年の痛い経験はどこに行ったのでしょう。少しは里山の危険を学習して欲しいものです。
付記 数年前から「凍殺ジェット」なるものが売られていて、吹きかければあっという間に凍ってしまい、後始末もきれいで簡単です。(2015年夏記)
付記2 ムカデの毒は熱に弱いのだそうです。噛まれたらすぐ43度くらいの湯で温めると徐々に痛みが引き、予後も良いようです。(2018年)kantoramom記
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